Journey Map /ユーザーの行動・感情・思考・問題に感じている点を俯瞰できる

ANKR DESIGN

[いつやるか] ペルソナ決定後
[用意するもの] 付箋、ペン、模造紙(もしくはプロジェクト進行の間ずっと使用できるホワイトボード・壁)
[注意点] チームメンバー視点ではなくペルソナ視点で作成する

ジャーニーマップとは、ユーザーへの理解を深めて具体的な施策へと落とし込むために、ユーザーが目的を達成するにあたってたどる流れを旅(ジャーニー)のプロセスに見立てて可視化するものです。例えばユーザーがサービスやプロダクトに触れるとき、それに対する認知・関心・検討・登録・購入などの行程がありますが、ユーザーの行動・行動に紐づく感情・思考の動きを時系列にまとめたものをカスタマージャーニーマップで表すことができます。一度作って終わりではなく、定期的に内容を更新してユーザーの感情や行動の変化にいつでも対応できるようにすることが大切です。

カスタマージャーニーマップを作成する主なメリットは3つです。まず、社内で共通認識が持てること。文字だけの情報ではなく図式化されているため、チームメンバーやクライアントも短時間で直感的に理解可能で、カスタマージャーニーマップを通して話したことや決めたことも思い出しやすくなります。そのためにもカスタマージャーニーマップは模造紙に書いて壁に張り出すか、ホワイトボードに書いて消さずにとっておくことをおすすめします。

2つ目のメリットとしては、ユーザー目線でプロダクトのことを考えられるようになることです。具体的な施策を考える際に数字のを追うだけではなくユーザーの体験を向上させるためにも、カスタマージャーニーマップを制作すること自体が、ユーザー目線で考えることの実践になります。「会員登録時の障害はなにか」「通知は適切なタイミングでユーザーに提供されているか」「どういう状況の時にどういう価値を提供すべきか」など今まで考慮できなかったユーザーの課題を新たに発見し、その解決策を検討することが可能です。

最後に、課題の優先度を明確にできることがメリットと言えるでしょう。カスタマージャーニーマップで全てのフェーズでの課題を洗い出し、課題の緊急度・重要性を比較・検討することで、解決すべき課題の優先度を明確にし、サービス改善のスケジュールを見直すことができるのです。 緊急度・重要度は下記のようなマトリクス図を使って整理しても良いでしょう。

実施方法
プロダクト・ユーザーをリサーチしたら、ユーザーを定義するためにペルソナを作成し、その後カスタマージャーニーマップで体験定義をします。※ペルソナに関しては別ページで解説します。
はじめに、ユーザーの行動・行動に紐づく感情・思考の動きを知るためにユーザーインタビューを実施しましょう。「プロダクトをどのように知ったか」「その際どんなふうに感じたか」、プロダクトに触れている間は「特定の機能を使っているときにどんなことを感じて、考えているか」「機能全体を通してどんなときが1番テンションが上がるか」「使いづらいと感じたポイントはどこか」などの感情・思考の変化を知ることが大切です。ユーザーインタビューの際に居合わせられなかったメンバーも一緒に作成する場合は、ユーザーインタビューの動画を一度チームメンバーで見返す作業を入れても良いでしょう。
これらの情報をもとに、カスタマージャーニーマップを作成していきましょう。

1.
模造紙、もしくはしばらく消さずに残しておける環境であればホワイトボードに、上記の見本のように縦軸・横軸を書きましょう。濃い黄色の横軸ではユーザーがサービスと関わる「フェーズ」を時系列で表しています。縦軸には、ユーザーの「タッチポイント・行動・思考・感情・インサイト」を並べます。注意点として、横軸と縦軸の項目はサービスやプロダクトによって異なりますので、ユーザー行動のリサーチ結果からフェーズを定義したり、縦軸に必要な項目を並べましょう。カスタマージャーニーマップを作成している間にフェーズの過不足に気づいたりする可能性は往々にしてありますので、横軸・縦軸の項目は付箋に書いていつでも貼り替えられるようにしておくのがおすすめです。

例えば、上記の宿泊先予約サイトのカスタマージャーニーマップを見ていきましょう。今回の場合、ユーザーが旅行に行くことがきっかけでこのプロダクトを閲覧し、宿泊した場所のオーナーに御礼をしてレビューを書くまでの流れがあります。マーケティングを行う場合は、どのようにこのプロダクトにたどり着いたかというフェーズを入れたり、継続的に使ってもらう必要があれば、使い終わってから次回使うまでのフェーズを入れたりと、必要に応じてカスタマイズしてください。

2.
横軸のフェーズと、縦軸で考慮する項目を書き込んだら、まずフェーズ順にユーザーの行動・思考・感情などを記入していきましょう。この際、付箋1枚につき1アイディアを書き込み、該当のエリアに貼っていくことをおすすめします。

3.
「感情」を表現する際は「感情曲線」を加えると、より分かりやすいカスタマージャーニーマップになります。「感情曲線」とは、プロダクトを使っていて楽しい、嬉しい、ワクワクするなどのポジティブな感情のときには上昇し、ストレスに感じたり、面倒くさいと思ったりネガティブな感情の場合には下降する曲線のことです。ユーザーの感情の変化を、曲線とイラストで表すと視覚的に感情の上がり下がりを一目で捉えられます。

4.
インサイトや課題から実際の具体策の話に進んでいくため、こちらは少し時間を使ってチームメンバーで話し合いましょう。意見がすべて出たら、課題の優先度を明確にしていきましょう。

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