小池メディカルの業務デジタル化支援|DXプロジェクト実施報告レポート

ANKR DESIGN
2022-05-30

アンカーデザインは昨年、小池メディカルの皆様と一緒に、業務デジタル化の支援を行いました。本レポートでは、プロジェクト背景やプロジェクトの流れについてご紹介します。

 

プロジェクトの背景

本プロジェクトでご一緒させていただいた小池メディカルは、事業のひとつとして医療用ガス(酸素・窒素・炭酸・笑気ガス等々)や、それに関わる製品を医療機関や在宅酸素療法が必要な患者様向けに提供しています。医療用ガスの交換が必要な際には現場担当者が医療機関や患者様宅を訪問し、ボンベの交換作業をさせて頂いています。

 

小池メディカルでは従来、紙の伝票に医療用ガスの配達・交換作業の内容を記入することによってボンベ交換業務を管理しておりましたが、医療用ボンベとボンベにまつわる作業を管理するためのスマートフォンアプリを開発し、現場へ導入することによって業務効率化を図ることを目指しました。

 

プロジェクトの流れ

本プロジェクトの流れは下記のようになっています。

  1. デザインリサーチ
  2. アプリデザイン
  3. アプリ開発

それぞれのステップについて、下記でご紹介します。

 

1. デザインリサーチ

アプリのデザインに着手する前にまずは現在の業務がどのように行われているかについての理解に努めます。アプリがどのような現場で使用されるか、アプリを利用するユーザーの業務はどのようなものなのか、アプリで交換する対象となるボンベはどのようなものなのかを適切に把握することによって、より使いやすく満足度の高いアプリを開発・提供することが可能になるためです。

 

今回のプロジェクトでは、医療用ガスボンベを患者宅に届ける際にどのような作業をしているのか把握するために、医療用ガス工場を見学させていただいた他、ボンベ供給を行っている営業担当の皆様にも話を伺い、実際の仕事の流れを理解しました。

 

2. アプリデザイン 

リサーチで得た情報をもとにスマートフォンアプリのUIについて検討を行いました。ユーザーストーリーを書き出し、必要な機能を把握した上でまずは紙上でラフな画面遷移及び構成を複数作成します。この写真のようなものをペーパープロトタイプあるいはLo-Fiプロトタイプ(忠実度の低いプロトタイプ)と呼ぶこともありますが、短時間で様々なパターンを描き出し、それぞれ検討を重ねることによって必要な機能や画面について抜け漏れが無いかの他、最も良いと思われるアプリの画面構造や画面上の部品配置を見出すことが可能になります。

 

アプリの構造や大まかな部品配置などの方針が定まったのちにFigmaにてHi-Fiプロトタイプを制作しました。Hi-Fiプロトタイプとは、アプリとして開発するものと見た目はほぼ同一の画面構成を持ったプロトタイプであり、今回のプロジェクトで作成したFigmaを利用したプロトタイプでは画面をタッチすることによって紙芝居のように画面遷移をシミュレートできます。これによって、アプリが完成した時の使用感をよりリアルに体験することが可能になります。本プロジェクトではこのHi-Fiプロトタイプを活用して、クライアント様との更なる議論やユーザーテストを重ねながら開発するアプリのデザインを定めていきました。

 

Hi-Fiプロトタイプを利用して合意形成がなされたあとは、ビジュアルについてのデザインを作成させて頂きました。

3. アプリ開発

 

デザインについておおよその方向性が固まると、実際のアプリ開発に進みます。本プロジェクトではアプリ開発にReactNative及びExpoを活用することでAndroid及びiOS向けに短期間でのリリースが可能となった他、アプリストアを通さずにアプリのアップデートを実施可能となっています。現場にアプリ導入後、現場から得られた様々なフィードバックを最短数分程度でアプリに反映させることが可能となっています。

 

本プロジェクトで製作したアプリは、小池メディカルの全ての現場への導入がなされており、アプリで管理されているボンベは多数に及びます。これまで、1回のボンベ交換につき1枚の伝票が使われていたことを鑑みると、ペーパーレス化によるコスト削減や業務効率化、また地球環境への負荷軽減など様々な価値が生まれています。

 

なお、今回のプロジェクトでご一緒させて頂いた小池メディカルの担当者様より、下記のようなフィードバックをいただいております。

 

従来の書面での伝票発行は当然必要ですが、いつどこで誰が、またどの酸素ボンベが今どこにあるかなど情報をリアルタイムで確認できることで大きく作業効率が向上しています。

酸素ボンベの供給は、安全に、確実に利用者の皆様にお届けする必要があります。

アプリの導入により、今までの業務以上に必要な酸素をより多くの皆様へ確実にお届けできる体制を構築できると考えております。
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